設立理念

ギティスバレエ設立にあたっての理念

現代化が進み、ネオクラシックやコンテンポラリーダンスなどが盛況な中、テクニックの追求、そして、それによるアクロバティックな舞台が多い今現在の日本で、その土台であるクラシックバレエを、その正しい基礎を理解し、ちゃんと習得している人は一体どれだけいるでしょう。

絶え間ない変化と共に築き上げられてきた、的確な土台−クラシックバレエの基礎があったからこそ、それを元に新しく生まれたものが多いというのは言うまでも無いにもかかわらず、新しいジャンルにばかり目がいって、しっかりとした土台にまで手が届いていないという日本の現状は否めません。

どれだけ足のターンアウトが出来るか、どれだけ足を高く上げられて、どれだけのテクニックがあるか…ということだけなら、新体操などのスポーツと何ら変わりありません。

 

舞台芸術であるバレエは、言葉の無い演劇とも言えます。自分の全身、心身共にすべてを使って舞台上で言葉を表現する芸術です。善と悪、喜びや悲しみ、愛など、人間の日常生活におけるすべての感情が、様々な作品の中で扱われ、演じられています。

感情のこもった表情・演技力、身体表現力、アラベスクなどのポーズ時に作る、綺麗な身体のライン…それら全部を駆使して、どれだけの自分の気持ちを観客に伝える事が出来るかという最大の課題が、舞台上で芸術作品を踊り演じる為の鍛練として、日々の基礎レッスンの中からすでに必要となってきます。

 

また、例えばデュエット(男女二人で踊るもの)などで一緒に踊る相手がいる場合には、自分一人だけでなく、お互いに理解し合い、目は口ほどにモノを言う…という言葉の通り、しっかりと相手を見て感じ合うということも大切な事です今流行のコンテンポラリーダンスなども、確かに自由で柔軟な身体表現力が必要ですが、バレエのような個々の繊細な感情表現は、そこまで重要ではありません。

では、何故クラシックの基礎を必要とするのでしょうか?

日本でもやっと主流になってきたようですが、例えば、ロシアの新体操やフィギィアスケートのプログラムの中には、必ずクラシックバレエの基礎が練習科目として組み込まれています。その成果は、オリンピックなどを見ていれば一目瞭然だとは思いますが、自分のやっている事を極める為にも、他の誰よりも素晴らしい演技をするためにも、必要な要素である事は見てとれます。

 

さて、その基礎レッスンなどを、例えば、今までの日本でのバレエの講習会の基本的概念として、一流の先生に、一流のバレエ・指導を受けるという傾向が多く見られます。

そんな数々の世界中で活躍している、多くのロシア人の一流の先生方を育て上げてきた、125年の歴史を誇る名門が、モスクワのロシア国立舞台芸術大学−ギティスです。

ロシアの国立バレエ団で現役ソリストダンサーとしても活躍しながら、そのギティス大学で由緒ある正しい教授法(メソッド)を共に学んだロシア人の友人を招き、その素晴らしい知識と経験を基に、日本の芸術家の卵の育成・教育を目的として、ロシア舞台芸術−ギティス・バレエを立ち上げました。

 

育成・成長に何が一番大切かと言えば、どんなジャンルや立場にしろ、経験だと思います。百聞は一見にしかず…と言う通り、どれだけ本や資料などから知識を得たとしても、実経験にかなうものは無いと思うし、そこからでしか得られないものが沢山あります。プロのダンサーであっても、数多くの舞台経験を積んでこそより良いダンサーになれるし、教師も、色んな生徒を見て、教える事で、一流と呼ばれるほどの良い先生になっていくと思います。

日本では男性ダンサーが少なく、デュエットクラスなどほとんどありません。古典クラシックの作品・幕物どれ一つをとってみても、男女で組んで踊るデュエット形式の振付は、ソリストや主役に限らず、必ずあるにも拘らず、そのデュエットに関する基礎的な事を学べないというのは非常に残念だと思います。

例えば、パ・ド・ドゥを舞台で踊らなければいけないから、その場でその必要な振付を習うだけというのはよくあるケースだと思いますが、それではあまりにも即席過ぎて、ただ精一杯こなすだけになりかねません。作品の背景に対するお互いの解釈や理解、また、それを一緒にどう演じるかという事まで、パートナーとコミュニケーションを取り、作り上げていかなければいけないと思います。

 

様々な楽器が一体となって演奏されるオーケストラと同じく、入念に作り上げられた全身、それによる細やかなテクニックや演技、パートナーとの息のあったコミュニケーションなどが、踊りの土台となる大切な音と共に調和し、そこで初めて、舞台作品と踊り手の間にハーモニーが生まれ、素晴らしいものを踊り伝えられるのだと思っています。

プロとしてでも、または趣味でとしても、舞台に立つという事は、単に自分さえ満足できれば、踊れれば良いのではなく、日々の練習の積み重ねと、バレエ芸術への理解が必要で、そして、観客も一体としてこそ、良い舞台に、良い発表の場になると思います。

そして、ただレッスンをするだけで終るのではなく、舞台上に上げてこそ、初めて、日々のレッスンが生かされ、経験となり、前進できると思うのです。

 

今回の私共の夏期特別講習会で生徒達との共演コンサートを設けた理由は此処にあります。ただ単に講習会で一方的に教師から教わるだけではなく、教師と共に舞台を創り上げていくという事で、良い意味での緊張感を持つことができ、その上で、バレエの基礎やテクニックだけではなく、踊りに携わっている人間としての育成も含め、教育していくことも出来ます。

これからの未来を支える芸術家の卵達を育てる機会として、又、奇しくも、日露交流150周年に当たる本年、すぐ隣でありながら、近くて遠い国であるロシアの若者と、バレエを習ってはいるけれど、ロシアやロシア人の事は良く知らない日本人の若者同士が、交流する事で日露友好の一助ともなれれば、この上ない喜びです。

 

ロシアで学んだ素晴らしい芸術を是非日本に伝えたい、

そして一緒に成長して行きたいと願います。

 

2005, 09, 01. 代表:岡本佳奈子

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