バレエ 「ライモンダ」

バレエ音楽『ライモンダ』は、名振付師であったプティパの依頼により、

1897年に書かれた3幕物のバレエ音楽で、アレクサンドル・グラズノフの作品の中でも、

とりわけ詩情豊かな旋律に溢れた曲として、クラシックバレエの世界でも

好んで取り上げられる作品のひとつとなっています。

 

 

バレエ「ライモンダ」

構成:3幕4場、 初演:1898年 マリインスキー劇場

振付:M・プティパ / 作曲:A・グラズノフ

 

第1幕

舞台は13世紀の中世ヨーロッパ、シビリア・デ・ドリス伯爵夫人の館でのこと。

伯爵夫人の姪、美しいライモンダは高潔なフランス騎士ジャン・ド・ブリエンヌと

婚約している。ジャンは、ハンガリー王アンドレイ二世に率いられて

十字軍に出征するので、この城に別れを告げに来る。

伯爵夫人とライモンダの二人の友人の踊りのあと、ライモンダも登場して

宴がくりひろげられる。ジャンのソロ、全員のにぎやかなコーダ。

ジャンは出陣の決意を示しライモンダと別れの踊りを踊り、

ヴェールを渡して出発して行く。

 

あとに残ったライモンダはたて琴をかき鳴らし、友人や吟遊詩人たちが踊る。

そしてライモンダ自らもジャンから送られたヴェールを手にして踊る。

やがて一人残ったライモンダのもとに、ドリス家の守護者である

白の貴婦人が現われ、ライモンダを幻想へと導く。

 

コール・ド・バレエの幻想的な動きの中にジャンの幻影が現われる。

ジャンとライモンダのアダージョ、コール・ド・バレエのワルツ。

二人のソリストの踊り、ライモンダのソロ、全員のコーダと古典的な情景が展開される。

やがてライモンダの見知らぬ男、サラセンのアブデラフマンの幻影が現われ、

ライモンダに熱い思いを訴えて姿を消す。白の貴婦人が現れてまた消える。

ライモンダはこの不思議な夢から目覚め、異郷のジャンの身を案じる。

 

< パリ・オペラ座 “ライモンダ” 1 act >

第2幕

伯爵夫人の城の華やかな宴。

集った数多くの客の中に、ライモンダの夢に出てきたアブデラフマンの姿が現れる。

ライモンダとアブデラフマン、ライモンダの二人の友人と二人の吟遊詩人による

六人の踊りがあり、アブデラフマンはライモンダに求愛し、拒絶される。

アブデラフマンと従者たちによりサラセンの異国的な踊りが次々と披露され、

フィナーレが盛り上がると、アブデラフマンはライモンダを無理やりに連れ去ろうとする。

 

そこへジャン・ド・ブリエンヌが突然帰国し、二人の争いとなる。

アンドレイ二世は公正な決闘で決着をつけるように命ずる。

決闘の結果、アブデラフマンは敗れて瀕死の重傷を負うが、

ライモンダの足もとに倒れ、ライモンダへの想いを訴えて死んで行く。

ライモンダとジャンは晴れて結婚することになり、

白の貴婦人の幻も現れて二人を祝福する。

 

< ボリショイバレエ “ライモンダ” 2 act >

 

第3幕

ライモンダとジャンの結婚は盛大に祝われ、華やかな祝賀会が催される。

大広間に伯爵夫人、アンドレイ二世、貴族たちが続々と登場する。

チャルダッシュやマズルカが人々によって踊られる。

正装したライモンダとジャンを中心に、ライモンダの友人と吟遊詩人たちの

8組のカップルが従って、グラン・パ。

まず壮麗なアダージョ、女性ソリストの踊り、男性四人の踊り、

ライモンダのヴァリアシオン、ジャンのヴァリアシオンとつづき、

再び全員がコーダも華やかに舞い納め、 フィナーレとなる。

ライモンダとジャンは皆の祝福を受け、一同楽しそうに踊りつづけるうちに幕となる。

 

< キーロフ・マリインスキー・バレエ “ライモンダ” 3 act >

 

< スカラ座劇場 復刻版ライモンダ1898 >

 

 

バレエ「ライモンダ」 ― 上演の歴史

省略なしのバレエ「ライモンダ」は、バレエ史を通じて幾度となく姿を現している。

著名なものを挙げると ―――

  • ミハイル・フォーキン振付のバレエ・リュス(1909年)
  • アンナ・パヴロワと彼女のバレエ団(1914年)
  • ジョージ・バランシンとアレクサンドラ・ダニロワ率いるバレエ・リュス・ド・モンテカルロ(1946年)
  • コンスタンチン・セルゲーエフとキーロフ・バレエ(1948年)
  • ルドルフ・ヌレエフ振付のアメリカン・バレエ・シアター(1975年)とパリ・オペラ・バレエ(1983年)
  • ユーリー・グリゴローヴィチ振付のボリショイ・バレエ団(1984年)
  • アンナ=マリー・ホームズ振付(二幕に改訂されている)のフィンランド国立バレエ団(2004年)
  • およびこの改訂版のアメリカン・バレエ・シアター(2004年)とオランダ国立バレエ団 (2005年)

――― によるものなどがある。

 

『ライモンダ』から数曲を抜粋した作品は世界中に多数存在する。

特に第3幕の「グラン・パ・クラシック」(Grand Pas Classique Hongrois)からの

抜粋が多い。抜粋作品の中で著名なものとしては、ジョージ・バランシン演出の

ニューヨーク・シティ・バレエ団によるもの(1955年、1961年、1973年)

ルドルフ・ヌレエフ演出のロイヤル・バレエ・ツーリング・カンパニーによるもの(1964年)

およびミハイル・バリシニコフ演出のアメリカン・バレエ・シアターによるもの

(1980年、1987年)などがある。

 

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