ハーブの語源は「Herba(ヘルバ)」 

― 草という意味のラテン語です。

私たち人間は古来より、その香りや成分を

料理や薬、芳香などに利用してきました。

 

現在では草に限らず、私たちの暮らしに役立つ

芳香植物を称して【ハーブ】と呼んでいます。

 

ハーブは、花や葉、茎などを生のまま(フレッシュハーブ)、

あるいは乾燥させて(ドライハーブ)利用します。

また果実や樹皮、種子、根などを乾燥させたスパイスも、ハーブに含まれます。

 

ハーブと精油の関係

ハーブには様々な薬効があると言われ、この力を利用した健康法は、

民間療法として昔から存在しました。香りや作用が穏やかなので、

料理やお茶、化粧品、クラフト、染色などで楽しむことができます。

 

一方、ハーブの花や葉に含まれる揮発性の芳香成分を

抽出したものが、精油(エッセンシャルオイル)です。

ハーブより有効成分が凝縮されているため、

取り扱いには多少注意が必要ですが、即効性があることで人気です。

用途やその時の気分で、ハーブと精油を上手に使い分けると良いでしょう。

 

ハーブ治療の歴史

芳香植物、ハーブが医療の目的でもちいられた歴史は古く、

古代ギリシャ時代以前にさかのぼります。

医学の祖ヒポクラテスの処方には

「ハーブを用いた燻蒸(くんじょう)は月経を促する」という記述があります。

 

ギリシャだけでなく、古代インドでも紀元前3000年頃から

アーユルヴェーダ(古代インド伝統医学)が登場し、

紀元前600年頃にまとめられ、今日まで継承されています。

 

中世には、修道士が医師の役割も担い、修道院の中に薬草園が作られました。

これがハーブガーデンの始まりともいわれますが、

薬草の栽培と同時に、心を鎮める瞑想の場でもありました。

 

19世紀に入り、化学や生理学が発達すると、ハーブの有効成分の

多くが化学的に合成されるようになり、化学薬品が誕生します。

しかし20世紀になると、化学薬品の副作用が問題となり、

再び生理学が注目されるようになりました。

 

ハーブへの関心が高まったのは、1960年代、

アメリカ西海岸を中心に始まったニューマンポテンシャル運動がキッカケです。

長びくベトナム戦争に対し、反対性を唱えるヒッピーたちが、

真の豊かさを求めて「自然に返れ」と提唱。

 

人が持つ可能性に着目し、人間本来の自然な生活が見直されます。

その波は次第に世界中に広まりました。

日本に「ハーブ」という言葉が入ってきたのもこの頃です。

 

ハーブが人に与える影響

ハーブの有効成分は、精神面と肉体面の

どちらにも働き掛けるといわれています。

体へは、口から(ハーブティーや料理など)、

皮膚から(湿布や入浴、化粧品など)、有効成分が吸収されます。

 

また、「香り」を嗅ぐことで鼻から入った香りの分子が肺に入り、

そこから血管を通って全身にいきわたります。

体の中に取り込まれた香りの成分は、脳や肺、血管に届き、

最終的に汗や尿、吐く息として排出されます。

 

一方、心へは、鼻から入った香りの分子が、

嗅覚を感じる経路を通って、刺激は大脳辺縁系に届き、

本能や情動、記憶にアクセスするのではないかと考えられています。

 

さらに自律神経や内分泌系、免疫系を調整している視床下部へと伝わり、

全身の生理機能にも働きかけるといわれています。

ハーブは精油に比べて、おだやかに働きかけるのが特徴です。

 

ですから、クローブやセージのように、

刺激が強いため精油の使用には特に注意が必要なものでも、

ハーブティーとしてであれば充分利用することができます。

 

ただし、忘れてはならないのが「好きな香り」を選ぶ事です。

心と体が受け付けない、嫌いな香りを選んでも良い効果は期待できません。

これはハーブを楽しむ上で、とても大切なことです。